テレビ電話で診療が行われる時代に!

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2018年4月の診療報酬改定でオンライン診療料というものが新設されました。

リアルタイムでのコミュニケーションが可能な情報通信機器を用いて診察を行った場合に算定できるのがオンライン診療料(70点)です(要届出)。

今後の日本の医療は、テレビ電話で診療が行われる時代になるかもしれません。

しかし、すべての疾患に対してテレビ電話での診療が有効なわけではありません。

医療者側も患者側もオンライン診療の特徴を理解して利用する必要があります。

オンライン診療に合う疾患は、高血圧や糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病や、花粉症、ハウスダストの免疫療法などの慢性疾患で定期的な内服、管理が必要な疾患です。

特に働き盛りのビジネスパーソンの健康管理として重要な意味合いを持つと、私は考えています。

例えば、日本の高血圧患者は約4000万人、 40歳以上の日本人の2人に1人が高血圧といわれています。

心筋梗塞や脳卒中などの高血圧関連疾患は40代から増え始めるにもかかわらず、高血圧症の40代男性の受診率は約7%と非常に低いことが報告されています。

さらに、正常血圧値の人と比べた高血圧の人の死亡リスクを年代別にみると、50代~70代男性よりも40代男性で最も高いことも報告されています。

某製薬会社が、高血圧で医療機関未受診の40代ビジネスマン約500人を対象に、意識調査を行いました。

その結果をご紹介すると、

・約6割の人が高血圧にもかかわらず、運動や食事療法などの血圧管理を行っていない。

・その理由として、「めんどう」「自覚症状がない」が9割。

・半数近くが、「自分の血圧では、高血圧ではない」と考えている。

・このアンケート終了後、実に8割の人が今後血圧管理に取り組みたいと答えた。

今回の調査では、40代の高血圧ビジネスマンは自分の血圧値に対する認識が不十分な人が多く、血圧管理に真剣に取り組んでいない現状が明らかになりました。

その一方で、血圧管理の重要性がしっかり理解出来れば、取り組む意欲があることも確認されました。

しかし、毎月仕事を休んで定期的に病院に通えるかと言うと難しい人が大多数かと思われます。

オンライン診療はそういった現状を打開するひとつのツールになるでしょう。

ただ、今回の診療報酬改定では大きな問題があります。

算定要件が厳しすぎて、オンライン診療の普及が促進していかないような条件になっています。

以下に算定要件を載せます。

ア.以下の⓵~⓾のいずれかの管理料等を算定する患者であって、当該管理料等を初めて算定した月から6月以上を経過し、かつ同6月の間、オンライン診療を行う医師と同一の医師により毎月対面診療を行った患者に対して算定する。

⓵特定疾患療養管理料 ⓶小児科療養指導料 ⓷てんかん指導料 ⓸難病外来指導管理料 ⓹糖尿病透析予防指導管理料

⓺地域包括診療料 ⓻認知症地域包括診療料 ⓼生活習慣病管理料 ⓽在宅時医学総合管理料 ⓾精神科在宅患者支援管理料

イ.上記「ア」における管理料等を初めて算定した月から既に6月以上経過している場合は、直近12月以内に6回以上、同一医師と対面診療を行っていればよい。

ウ.対面による診療の間隔は3月以内であり、オンライン診療料を3月連続では算定できない。

エ.初診料、再診料、外来診療料、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)(Ⅱ)を算定する月は算定できない。

オ.対面による診療とオンラインによる診察を組み合わせた診療計画を作成し、当該計画に基づき、オンライン診察を行った上で、その診察内容、診察日、診察時間等の要点をカルテに記載する。

カ.当該診療計画に基づかない他の傷病に対する診察は、対面診療で行うことが原則であり、オンライン診療料は算定できない。

キ.オンライン診療は、当該医療機関内において行う。

ク.オンライン診療料を算定した月は、オンライン医学管理料以外の医学管理等の点数(特定疾患療養管理料など)は算定できない。

ケ.オンライン診察時に投薬の必要性を認めた場合は、処方料又は処方箋料を別に算定できる。

コ.オンライン診察を行う際には、予約に基づく診察による特別の料金の徴収はできない。

サ.オンライン診察を行う際の情報通信機器の運用に要する費用については、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として別途徴収できる。

シ.オンライン診療料を算定する場合は、レセプトの適用欄に、上記「ア」において算定した管理料等の名称及び算定を開始した年月を記載する。

(施設基準)

ス.厚労省の定める情報通信機器を用いた診療に係る指針に沿って診療を行う体制を有する。

セ.オンライン診療料の算定を行う患者について、緊急時に概ね30分以内に当該医療機関において診察可能な体制を有する(上記「ア」の⓶、⓷、⓸を算定する患者は除く)。

ソ.1月あたりの再診料等(電話等による再診は除く)及びオンライン診療料、在宅患者訪問診療料(Ⅰ)(Ⅱ)の算定回数に占めるオンライン診療料の算定回数の割合が1割以下である。

(届出)

タ.届出にあたっては、届出前1月の実績が必要である。

(2)情報通信機器等を用いて行う医学的な管理(遠隔診療)をする場合は、これまでは、電話等による再診として再診料(72点)を算定できることとされていたが、2018年4月以降はオンライン診療料(70点)で算定することとされた。

ただし、2018年3月31日以前に3月以上継続して遠隔診療を行っていた患者については、一連の医学的な管理が終了するまでの間は、電話等による再診として引き続き再診料を算定できる。

なお、この場合において、時間外加算、休日加算、深夜加算、夜間・早朝等加算は算定できない。

(3)電話等による再診として再診料(72点)を算定する場合は、以下の費用の算定・徴収はできない。

⓵医学管理等に規定する全ての点数(特定疾患療養管理料など)

⓶予約に基づく診察による特別の料金

通知

(1) オンライン診療料は、対面診療の原則のもとで、対面診療と、リアルタイムでの画像を 介したコミュニケーション(ビデオ通話)が可能な情報通信機器を活用した診察(以下「オンライン診察」という。)を組み合わせた診療計画を作成し、当該計画に基づいて計 画的なオンライン診察を行った場合に、患者1人につき月1回に限り算定できる。

なお、 当該診療計画に基づかない他の傷病に対する診察は、対面診療で行うことが原則であり、 オンライン診療料は算定できない。

(2) オンライン診察は、(1)の計画に基づき、対面診療とオンライン診察を組み合わせた医 学管理のもとで実施されるものであり、連続する3月の間に対面診療が1度も行われない 場合は、算定することはできない。

ただし、対面診療とオンライン診察を同月に行った場 合は、オンライン診療料は算定できない。

(3) オンライン診療料が算定可能な患者は、区分番号「B000」特定疾患療養管理料、「B001」の「5」小児科療養指導料、「B001」の「6」てんかん指導料、「B0 01」の「7」難病外来指導管理料、「B001」の「27」糖尿病透析予防指導管理料、「B001-2-9」地域包括診療料、「B001-2-10」認知症地域包括診療料、「B001-3」生活習慣病管理料、「C002」在宅時医学総合管理料又は「I016」精神科在宅患者支援管理料(以下「オンライン診療料対象管理料等」という。)の算 定対象となる患者で、オンライン診療料対象管理料等を初めて算定した月から6月以上経 過し、かつ当該管理料等を初めて算定した月から6月の間、オンライン診察を行う医師と 同一の医師により、毎月対面診療を行っている患者に限る。

ただし、オンライン診療料対 象管理料等を初めて算定した月から6月以上経過している場合は、直近 12 月以内に6回以上、同一医師と対面診療を行っていればよい。

(4) 患者の同意を得た上で、対面による診療とオンライン診察を組み合わせた診療計画(対 面による診療の間隔は3月以内のものに限る。)を作成する。

また、当該計画の中には、 患者の急変時における対応等も記載する。

(5) 当該計画に沿った計画的なオンライン診察を行った際には、当該診察の内容、診察を行 った日、診察時間等の要点を診療録に記載すること。

(6) オンライン診察を行う医師は、オンライン診療料対象管理料等を算定する際に診療を行 う医師と同一のものに限る。

(7) オンライン診察を行う際には、厚生労働省の定める情報通信機器を用いた診療に係る指 針に沿って診療を行う。

(8) オンライン診察は、当該保険医療機関内において行う。

(9) オンライン診療料を算定した同一月に、第2章第1部の各区分(通則は除く。)に規定 する医学管理等は算定できない。

(10) オンライン診察時に、投薬の必要性を認めた場合は、区分番号「F100」処方料又は 区分番号「F400」処方箋料を別に算定できる。

(11) 当該診察を行う際には、予約に基づく診察による特別の料金の徴収はできない。

(12) 当該診察を行う際の情報通信機器の運用に要する費用については、療養の給付と直接関 係ないサービス等の費用として別途徴収できる。

(13) オンライン診療料を算定する場合は、診療報酬明細書の摘要欄に、該当するオンライン 診療料対象管理料等の名称及び算定を開始した年月を記載すること。

要約すると、

・オンライン診療導入前6か月間は毎月病院に通わなければならない。しかも同じ医師に診てもらう必要がある。

・オンライン診療導入後、3か月に一度は病院に行かなければならない。

・緊急時には、30分以内に診察可能な体制を整えておく必要がある。

遠隔診療という新しい可能性をつぶさないための規制強化であることはわかりますが、このルールのもとでは大きな進展は望めないと考えております。

2020年の診療報酬改定でさらなる進展を期待します。

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