ミティキュアによる舌下免疫療法:体質改善を行う新しい治療法です。
薬剤(ダニから抽出したエキス)を舌の下より体にとりこんで、体質改善を行い、アレルギー性鼻炎の症状を抑えます。
通常は体質改善に3〜4年かかります。
少なくとも2~3年間毎日舌下投与が必要です。
ただし、2〜3ヶ月治療を継続すれば治療効果があらわれるかたもいます。
治療効果は80%です。
(言いかえれば2割の方は効果がない)
治療前からの効果予測はできません。
ミティキュアを使った舌下免疫療法では重篤な副作用の報告はありません。
軽い副作用はあります。
病気の原因となるもの(アレルゲンと言います)を少ない量からゆっくり増やして体内にいれて、アレルゲンに慣れさせる治療法です。
ダニアレルギー性鼻炎の舌下免疫療法でのアレルゲンはダニです。
アレルゲンエキス(ダニから抽出したエキス)を体内に入れることでアレルギー反応が変化して、ダニアレルギー性鼻炎の症状が抑えられると考えられています。
ダニから抽出したエキス=ミティキュアです。
投与法は:
ミティキュアを1日1回舌の下に置き、1分そっとしておき、その後飲み込みます。
これを最初の1週間は3,300JAU錠を、2週目からは10,000JAU錠を毎日舌下投与します。1回目の舌下投与は医療機関で行いますが、以降は毎日自宅で行います。
鼻炎の症状にかかわらず毎日3〜5年間行います。
効果は:
即効性はありませんが、3ヶ月ほど続けることで効果が徐々に出てきます。
くしゃみ、鼻水、鼻づまりの改善。
目のかゆみの改善。
アレルギー治療薬の減量が期待できます。
(ミティキュア舌下免疫療法中もアレルギー治療薬が必要になることもあります)。
治療成績は:
治療を行った方の20%:症状が出なくなります。
60%の方:症状が軽くなります。
残念ながら20%の方では治療効果がありません。
通院について
毎日の通院は不要ですが、定期的な通院が必要です。
治療開始後の数回は1週間毎に来院していただき、副作用が無く安全に出来ているかを確認します。その後は1か月に1回の通院が必要です。
治療期間と効果の持続期間は:
まず2年ほど舌下免疫療法を行い、効果を確認します。
ある程度効果のある方にはさらに1〜2年間の治療の延長をお勧めします。
効果がある方は治療期間が長いほど、その効果も長く続きます。
実際には具体的に何年治療を行えばよいか決まりはありません。
効果のあるかたには3〜4年の継続を勧めます。
そこで終了しても効果はその後も持続すると考えられています。
終了して何年も経過すると、再びダニアレルギー性鼻炎の症状が悪くなる方が出てきます。その場合には、その時点で再度1〜2年間の舌下免疫療法を行うことをおすすめします。
副作用について:
命にかかわるような副作用はきわめて稀であり、安全とされます。
軽い副作用はあります。軽い副作用は決して怖いものではありません。
よく理解していただければ、安全に行えます。
軽い副作用:ほとんどの場合は特別な対応がいりません。
口の中、舌、舌下で生じる腫れ、違和感、ピリピリ感、かゆみ。
くしゃみ、鼻水、鼻づまり、鼻のかゆみ。
目のかゆみ。
耳の違和感やかゆみ。
のどの違和感やかゆみ。咳。
頭痛、めまい感、じんましん。
初回投与は病院内で投与します。投与後30分は院内で経過観察が必要です。
ご自宅で上記のような副作用がでることがありますが大半は軽度であり経過をみることで自然に落ち着いてきます。お手持ちの抗アレルギー剤(ミティキュア以外の花粉症の薬)があれば通常量飲んでください。
上記のような副作用がでた日は、経過を観察し、症状がおさまらない場合は翌日以降の舌下投与はおこなわずに受診してください。
重い副作用:
ミティキュアでは命にかかわるような副作用の報告はありません。
ダニにアレルギーがある患者さんにダニから抽出したエキスを体内に入れて治療を行います。
このため理論的にはアナフィラキシーのような強いアレルギー反応を起こさないとは言えませんがきわめてまれとされています。
以下のような症状が出た時はアナフィラキシーショックの可能性がありますので、直ちに救急車を要請して迅速な対応をしてください。
アナフィラキシーショック:
急に呼吸がしにくくなり、胸が苦しくなる。
ヒューヒュー、ゼーゼーと喘息発作のように息苦しくなる。
急に顔色が悪くなり、気分も悪くなり、動けなくなる。
急に意識がはっきりしなくなる。
全身にじんましんがでる、全身が赤くなる。
腹痛や嘔吐が続く。
以下の方々は治療を受けていただくことができません。
ダニアレルギー性鼻炎ではない方(必ず血液検査でダニアレルギーかどうかの確認が必要です)。
12歳未満の方。
重い気管支喘息の方。
妊娠中・授乳中の方。
心臓病をお持ちの方、また治療を受けておられる方。
ステロイド剤の投与を受けておられる方。
以下の方々は治療開始にあたって注意が必要です。
以前にアレルゲンを使った治療や検査にてアレルギー症状をおこした方。
ダニ以外のアレルギーに対しても反応性が高い方(強い食物アレルギーなど)。
副作用が出やすいと言われています。血液検査による抗体値の確認が必要です。
気管支喘息の方。
重い肺疾患や高血圧の方。
悪性腫瘍(がん)や免疫系の病気の方。
以下のお薬を服用中の方。
(非選択的β遮断薬、三環系抗うつ剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤:受診していただければ薬剤師がご確認いたしますので、お薬手帳をお持ち下さい)。
歯科治療中の方、口内炎がある方(治療中に歯科治療を行うときは、中断が必要です)。
※舌下免疫療法は根気が必要です