2018年5月16日から、10歳代患者へのタミフル投与が再開されています。
厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会は2018年5月16日、抗インフルエンザ薬のタミフル(一般名オセルタミビル)について、10歳代患者への投与を再開する方針を決めました。
タミフルは2001年の発売以降、服用した子供が自宅マンションから転落するなどの異常行動が相次ぎ報告されました。
2007年には、タミフルの添付文書の警告欄に「10歳以上の未成年の患者では、原則として使用を差し控えること」と記載され、10歳代の患者には事実上、使用できなくなりました。
しかし、ほどなくリレンザ(ザナミビル)などの他の抗インフルエンザ薬を使用した患者でも異常行動が出現していることが判明。
厚生労働科学特別研究事業「インフルエンザ様疾患罹患時の異常行動に係る全国的な動向に関する研究」の調査報告書でも2009/10シーズンの報告以降、「抗インフルエンザウイルス薬の種類、使用の有無と異常行動については、特定の関係に限られるものではない」と記載され続けてきました。
にもかかわらず、タミフルの解禁は引き延ばされてきました。
解禁がこのタイミングになった理由について、「研究班に10年分の調査データが集積され、科学的な判断をするに足る十分なエビデンスが得られたから」と担当者は説明しています。
また、他の理由について「2018年6月にタミフルの後発品が発売された。新しい作用機序の抗インフルエンザ薬、ゾフルーザ(バロキサビルマルボキシル)(単回投与、経口薬)も2018年3月に発売になった。そうしたことも今回の判断に影響しているようだ。」
仮に次シーズン、ゾフルーザ服用者で異常行動がほとんど報告されなければ、異常行動の原因がタミフルやリレンザなどのノイラミニターゼ阻害薬だった可能性が高まります。
解禁後も、これまで通り抗インフルエンザ薬の服用者だけでなく、服薬していない患者でも異常行動に注意していくことが重要です。