スウェーデン・Karolinska InstitutetのEmma Sverden氏らは、消化性潰瘍の診断後7日以内にヘリコバクターピロリ除菌治療を行った人に比べ、それ以降に行った人では再発や胃がんのリスクが高まるとGastrointest Endoscに発表しました。
胃がんリスクは1年後で4倍以上
ピロリ菌に感染すると、時間の経過とともに胃の内壁または小腸に潰瘍を来し、消化性潰瘍からがんに至る疾患が引き起こされる可能性があります。
Sverden氏らは、ピロリ菌に起因する消化性潰瘍と診断された患者において、除菌治療の遅れがさまざまな疾患の発症にどのような影響を及ぼすか調べました。
同氏らは、スウェーデンの人口ベースの全国コホートから2005~2013年に消化性潰瘍と診断され、ピロリ菌除菌療法を受けた2万9003人を抽出。
診断から除菌治療までの経過期間で⓵7日以内 ⓶8~30日 ⓷31~60日 ⓸61~365日 ⓹1年以上 に分類し、Cox回帰分析により消化性潰瘍の再発や胃がんのハザード比(HR)を求めました。
その結果、消化性潰瘍の再発は7日以内の除菌治療と比べて、31~60日では2倍でした。
7日以内の除菌治療に対するHRは8~30日で1.17、31~60日で2.37、61~365日で2.96、1年以上で3.55でした。
複雑な潰瘍を発症するリスクは7日以内の除菌治療と比べて、31~60日では3倍、1年以上では6倍以上に増加しました。
また、胃がんのリスクは61~365日で3倍以上、1年以上で4倍以上に増加しました。
今回の結果から、消化性潰瘍と診断された後のピロリ菌除菌治療の遅れは、診断後8~30日であっても再発リスクの増加と関連しており、速やかな除菌の重要性が示唆されました。
同氏らは「ピロリ菌除菌治療の遅れは複雑な潰瘍や胃がんの発症リスクを高め、そのリスクは経時的に増加する。消化性潰瘍の診断後は、7日以内にピロリ菌除菌治療を施行すべき」と指摘しています。