米・University of MontanaのMichaer W.Schleh氏らは、高温環境下での運動時に水分補給する場合のスポーツドリンクと経口補水液の効果を比較した結果、身体の水分バランスに差はなかったとWilderness Environ Med(2018;29:185-193)で報告しました。
成分よりも摂取量の方が重要か
対象は、平均年齢が22.5歳の健康な成人男性10人。
全員が耐熱耐炎性繊維の消防服を着用し、室温39℃、湿度30%の部屋で最大酸素摂取量(VO2max)が50%となる運動強度で90分間の運動(ウォーキング)を2回行いました。
45分間の運動後10分間休憩し、スポーツドリンクまたは経口補水液で水分補給しました。
どちらの飲料を与えるかは二重盲検ランダム化クロスオーバーデザインの下で決定されました。
スポーツドリンクまたは経口補水液を飲む量は、45分間の運動中に失われた汗の量の150%に相当する量としました。
その結果、発汗率(運動前の体重+水分補給量)ー(運動後の体重+尿量+呼吸による水分喪失量)/時間
および脱水率(体重減少量/運動前の体重)のいずれにも、スポーツドリンク群と経口補水液群に有意差はありませんでした。
また、尿比重や尿量も両群間に有意差はありませんでした。
運動後のヘモグロビン値は両群で有意に上昇してました。
一方、運動後の血糖値は経口補水液群の103mg/dLに対してスポーツドリンク群では116mg/dLと有意に高かったです。
運動後の脂質酸化量は経口補水液群の0.47g/分に対してスポーツドリンク群では0.38g/分と有意に低かったです。
以上を踏まえ、Schleh氏らは「経口補水液とスポーツドリンクのどちらかで水分補給しても、消防服を着て高温環境下で運動した際の身体の水分バランスに差はなかった。飲料の成分よりも摂取量の方が水分バランスを維持する上で重要である可能性がある」との見解を示しています。